あまりに突然の衛の死に、悲しみにくれる竜宮島。一方、新国連の基地内では、ミツヒロの執念で生み出されたザルバートルモデルの最終テストが行われています。「北極海の決戦まであと2週間を切った」 ファフナー世界の時系列は、微妙に現実の放送スケジュールに合わせてあるんですね。ということは、総士が竜宮島に戻ってからたった半年の間に、楽園が崩壊していったということか。信じていた日常が崩れていくのはあっという間、さよなら、蒼き日々よ…
人類軍のファフナーのパイロットは、やはり狩谷でしたか。「ここまでザルバートルモデルを乗りこなしてくれるとは思わなかったよ、ユキエ」「ありがとうございます」 今まで誰にも見せたことの無い様な幸せな表情の狩谷。フェストゥム因子の増強剤を致死量ぎりぎりまで投与するという方法で、竜宮島でも一騎しか乗れないザルバートルモデルに乗ることができるようになった狩谷の「やっと手に入れた幸せな時間」という言葉。これは、総士がジークフリード一体型ファフナーに乗る決意をした時の乙姫の「一番大切な人達といっしょにいられる、幸福な時間」という言葉と同じでありながら、実は全く逆の方向を向いているような気がするんですが。狩谷の「幸せ」は、ミツヒロへの盲目的な従属及び、ミツヒロが捨てた島、自分を実験台にした島への憎悪に裏打ちされたネガティブなもの、総士のそれは、自分の存在を肯定させてくれた仲間たちへの思いをこめたポジティブなもの。
ネガティブな感情は、それだけ「魔」につけいられるスキを持っている。憎悪しか信じられなかった狩谷は、負の感情を学ぼうとするイドゥンにとっては、たやすく乗っ取ることのできる存在。いつの間にか実験スタッフにまぎれこんでいたイドゥンによって、同化されていく狩谷、ニーベルングから侵食してきた結晶にあっという間に全身を覆われて行きます。「私の、私の夢がっ…」と絶叫したまま発狂するミツヒロ、彼の夢とは一体なんだったのか?彼のそれほどまでの憎しみの原点は一体なんだったのか?結局本編では説明されないまま終わりそうなのが、残念。狩谷を完全には同化しないまま、既に狩谷から制御を奪ったザルバートルモデルの両手で、ミツヒロをたたきつぶしたのは、イドゥンの言葉を借りれば「我々は、おまえたちの感情を私によって獲得する」ため。「いやー、やめてーっ、ミツヒロさんっ!」絶叫する狩谷の断末魔とともにイドゥンは、狩谷をその激しい憎悪の感情ごと完全に同化します。「これが、憎しみ、これが!」 乙姫の危惧どおり、イドゥンは憎しみの気持ちを選択してしまうわけで。全く・・・最後まで総士の天敵だったな、狩谷。結局彼女は、ミツヒロの野望と憎しみに自分を同化させることでしか、自分の存在意義を保てなかったわけで。言い換えれば、狩谷のミツヒロに対する感情というのは、総士の一騎に対するそれのネガポジみたいなものかもしれない、とふと思ってしまったんですが。
自分の整備した機体が、大事な息子を守れなかったショックのあまり、引きこもってしまう小楯父。それでも小楯父の留守を守ろうとする手塚(本編で名前呼ばれたの初めてですよね、今までもちょくちょく出てたのに)、息子の死を嘆くのはまずやるべきことをやってから、と健気な小楯母。いかんよ、今まで目立たなかった人が突然目立つのは、ヤバイって…(泣)。
一方、スカラベ型が残した根にがんじがらめにされたままのジークフリードシステム、通信が断絶したまま20時間が経過しています。中の総士を助けるべく作戦を立てるCDC。「問題は一騎の体だ。本当にやらせるのか?」と問う溝口に、「一騎がそれを望んでる」と答える史彦。まったくもう、溝口さんったら、一騎と真矢に気をとられちゃって、肝心の一騎のキモチには鈍感なんだからっ(笑)。よくよく自分の胸に手をあてて考えてみりゃわかるんだろー、一騎が自分の命より大事にしてるのは、真矢じゃなくって、総士だっつーのっ(笑)!
一方、咲良の同化に畳み掛けるような衛の死に、完全に自分の殻に引きこもってしまった剣司。真矢、カノン、一騎の説得にも耳を貸そうとはしないわけで。今や彼の心を乗っとってしまっているのは死への恐怖だけ。でもね、考えてみれば当たり前のことだよね。彼はカノンみたいに兵士として育ってきたわけでもなければ、一騎や真矢ほどの意志を持っているわけでもない。今まで咲良と衛と3人だからこそ、無我夢中で戦ってこれたわけで。そんな息子の気持ちを一番良くわかっている彩乃がドア越しに、剣司に語りかけます。剣司が戦わずに済むかも、と安心する気持ちがあるのだと、正直に剣司に本心を明かす彩乃。「アンタの代わりに誰かがファフナーに乗るんだってことは、忘れないでちょうだい・・・それでも戦いたくないっていうなら、母さんがアンタを守ってやるよ…」 ああ、先週の澄美に続いて、今週も思わず親モードな気持ちになっちゃうじゃないか、彩乃さん(泣)。たとえ身勝手と思われても、、自分の子どもを好き好んで危険な場所になんぞやりたくはない、でも、自分の子どもの代わりに誰かが犠牲になるのもツライ…ファフナーに乗ることができないなら、せめて自分のできることをやって、子ども達を守りたい、という大人たちの気持ちが今日のテーマのひとつ、ということはBパートで明らかになるわけですが…
「やっぱりイヤよ、できないわっ!」と、かぶりを振る弓子。メガセリオンが大破してしまった今となっては、道生が乗れる機体は無いけれど、フェストゥムがいつまた襲ってくるかわからない。まだ使えるノートゥングモデルに乗るべく、フェストゥム因子を活性化させる薬(でいいんだよね?)を投与するように弓子に頼んでいた道生。「この薬の効力が切れたら…結婚しよう」 家族、そして子ども。失いたくないものが増えてしまったからこそ、死にたくはない、でも、その失いたくないものを守らなくてはならない。「お願い…死なないで」と涙をこぼしながら薬を注射する弓子。なんか、いちいちAパートの部分がBパートの伏線になっているところが、「やられたっ」って感じがしちゃうんですが。
そして、そこに「オレもお願いします」といって入ってきたのは、右半身の自由を奪われた一騎。同化された右目はファフナーを降りても赤いまま、視力を失っているわけで。その状態では、何もできない、たとえ、その後に来るものが深刻な同化現象だとしても、今やらなければ後悔することがある。「お願いします、オレがまだ、総士を助けられるうちに…」 うおぉお、なんとクリティカル・ヒットなセリフをかましてくれますか、一騎くん(泣)。このあたりから、もう、怒涛の萌&泣のダブルの感情に、いよいよ管理人の脳内のバーチャルメモリがめまぐるしくページイン、ページアウトを繰り返す(苦笑)。
ええっと、バーンツヴェック内の一騎と真矢のやりとり、っていうのもAパートの重要な部分なハズなんですが、スルーしてもいい(苦笑)?まあ、要するにここでわかるのは、アタマの中は総士くんでいっぱいいっぱいの一騎くんが、「だから一緒にいると安心するのかな」と何気なく言った一言に、真矢ちゃんが過剰反応しちゃったってことか(苦笑)。だって、真矢ちゃん、一騎くん、「安心」しちゃってるのよ?「ときめいて」いるわけじゃないのよ?「安心する」と言ったときの一騎の切なげな表情と、それを聞いて指をくりくりさせながら真っ赤になっちゃう真矢の温度差が、ある意味ツボだったんだけどね(笑)。
その頃、ジークフリードシステム内に閉じ込められた総士を襲っていたのは、フェストゥムによる精神攻撃。「お前は真壁一騎に対して、フェストゥムと同じことをしようとした。それは人類に対する裏切りだ。その傷は罰だ。お前の汚らわしい行いに対する当然の報いだ」 ・・・ええっと、ここで、不覚にもイケナイ想像をしてしまった方、お友達ですっ!「汚らわしい」って・・・フェストゥムくん、空気読みすぎです(笑)。「違う、この傷が僕を僕にした」と反論する総士に、畳み掛けるように左目を失った直後の総士の亡霊が語りかけます。「自分が自分でいることをやめられたらどんなに楽だろう」「そんな考えは、もう、持っていない!」「本当はフェストゥムのことをうらやましいと思っているくせにっ!」 総士にゆさぶりをかける言葉は、おそらくは総士の深層心理から読み取った過去の記憶から拾ってきたものでしょう。生殖という概念を持たないフェストゥムにとって、同化とは本能から来る自然な行為だろうけど、これが人間に置き換わってくれば、当然自分以外の個体と一体化しようとする行為そのものが、ずばりSEXを暗示しているわけで。いやーん、フェストゥムのセリフを通して、総士くんカミングアウト(笑)。自分が一騎を同化しようとした行為の根源にあった性的な衝動(もう、断言しちゃうよ、ワタシは)に総士自身がいつ気づいたかどうかはわかりませんが、妙にストイックな彼の心情が、それを「汚らわしい行い」として自分の記憶の奥底に閉じ込めようとしていたんだろうと(しかも、同性に対するソレっていうのは、生殖という面では意味を成さないんだから、いよいよ深刻だし!)。自分が自分で無くなることを欲したあの7歳の日、そして、相手と一体化しようとすることに罪悪感を持つことのないフェストゥムを「うらやましい」と思う気持ち、それは、今は「もう、持っていない」けど、かつて「持っていたことのある」気持ちだったわけで。
我に返った瞬間、「フェストゥムも色々やるようになったな、僕の心を読んで、僕を誘っているのか?」と不敵に笑う総士。思いっきり心を読まれてる自覚アリ(笑)。それでも、フェストゥムの精神攻撃に侵食されることが無かったのは、やはり一騎がモルドヴァに行ってしまった間に、自分の気持ちと向き合い、そして一騎を「自分とは別の人格を持った、大切な存在」というように認識し直すことができたからなのか?「積極的な自己否定」の先の「絶対的肯定」に一騎と総士を導いたマークザインの存在、そして、一騎とのゆるぎない絆を確信できるようになった総士が叫びます。「人の痛みを理解した程度で、全てわかったつもりか?おまえたち「死」に、痛みを感じることができるのか?僕はここにいる、まだ、ここにいるぞっ、一騎ぃっ!」 あー、やっぱり、総士には、いつもこの声で一騎の名前を絶叫して欲しい!というわけで、自分の本当の気持ちを自覚しながらも、それを抑えつつ、「絆」として昇華させようとしている総士(と、またまた断言しますが)に激萌えしちゃたところでAパート終了。
Bパートで、いよいよ乙姫とマークザインのクロッシングによる総士サルベージが開始されます。「情報公開は諸刃の剣だぞ?」と溝口に釘をさされる史彦ですが、「何かを隠せば信頼を失う」とそれをつっぱねる史彦。キールブロックへの防壁が解除され、海中から進入したマークザインがウルドの泉へと足を踏み入れます。ミールを解析するために使用された液体コンピュータですか。冲方さんって、この液体コンピュータっていうのスキだなぁ、マルドゥックにも出てくるし。キールブロックの中で一騎を待っていた乙姫。「前にあなたを岩戸に呼んだときのこと、覚えてる?」「ああ、君に、総士と一緒に戦ってくれ、って言われた気がした」 モルドヴァから戻ってきてから、一騎と乙姫がまともに会話するシーンって初めてですよね。「アイツは無事なのか?」「総士は、そこにいるよ・・・」 コアが不在となったフェストゥムの根に働きかけるために、乙姫をコアとして、乙姫とクロッシングする一騎&マークザイン。総士を助けたい、という一騎と乙姫の思いが、ジークフリードシステムにからみついたフェストゥムの根を崩壊させていきます。 「かずき・・・か・・・?」 やっと聞くことのできたその声に、思わず「総士っ!」と叫ぶ一騎。ホントにおまえら、お互いの名前呼びすぎだ〜、萌えるけど(笑)。「一騎・・・最後の戦闘から何時間経った?」 苦しげに目をしばたかせながら、かぶりをふる総士の声は、いつも指揮をとる声に比べて、あまりに抑揚がなく弱々しい。「21時間だ」「そんなにか・・・時間の感覚が鈍くなってる・・・」 そうか、21時間もあのフェストゥムの精神攻撃と戦ってたワケね。そりゃあ消耗もするだろうと。「ツライのか、総士?」 ぎゃぁ、もう、一騎って天然でこういうセリフを繰り出すんだからあなどれない(笑)。やっぱり、「母性的」なのね、一騎。「わからない・・・ツライという感情が消えかけているらしい・・・一騎・・・本当にそこにいるのか・・・」 今まで見せたことのないような、総士の弱気な言葉に、思わず我を忘れて「いるぞ、ここにいるぞ、今すぐ出してやるっ!」と叫ぶ一騎。この子は、本当に総士のこととなると理性を失っちゃうのね。ああ、もう、今度こそ一騎×総士に転んでしまいそうな自分を自覚してしまった一瞬(笑)。「一騎くん、焦らないで!」という彩乃の言葉に、気が気ではない心を抑えながら、再び乙姫とのクロッシングを開始する一騎。しかし、そこで乙姫が感じたのは、開放されたキールブロックをいち早く感知してしまった、不吉な影の到来。
「ソロモンに反応あり!」「ベイバロン、マークジーベン、マークアイン、出撃スタンバイ!」道生が乗る機体はマークアインですか。「行くぞ、勝負はこれからだってことを教えてやるぜっ!」やはり、キメゼリフは死亡フラグがびんびんに立っている道生のもの。ジークフリードシステムの援護も、切り札のマークザインも不在の戦いを乗り切るために、真矢とカノンに指示を出す道生。ファフナー同士でオンラインじゃ通信できないっていうのは、致命的だなぁ、と思ってしまったんですが。
人類軍基地からマッハ7というとんでもないスピードで島に接近するのは、イドゥンが乗っ取ったザルバートルモデル。竜宮島に降り立ったとたんに始めたのは、キールブロックへの進入。乙姫とマークザインのクロッシングを断ち切り、ジークフリードシステムに進入するザルバートルモデル、その衝撃のあまり、絶叫する総士の前に点滅する無数のモニターの光。「・・・これは・・・クロッシング・・・?」 総士と、信頼するパイロットたちを繋ぐ絆ともいえるジークフリードシステムへの無理矢理なクロッシングは、すなわち総士の魂への陵辱。「機体コード・・・マーク・・・ニヒト・・・」 この機体にSeinを否定するnichitと名づけたのは、果たしてミツヒロだったのか?
ベイバロンと、マークアインで、マークニヒトを前後から攻撃するも、マークニヒトのワームスフィアでベイバロンは大破。カノンはすんでのところでコックピットを射出して辛くも死を免れますが、もう、とても戦える状態ではない。ベイバロンがつきたてたルガーランスを自分の機体から引き抜き、今度はドラゴントゥースを構える真矢に投げつけるマークニヒト。真矢はこれを迎撃しようとするも、一発目は命中しても、何のダメージも与えられず、弾丸の種類を変えてもう一発迎撃しても、これまた何のダメージも与えられない。ジークフリードシステムの援護が無ければ、自分の引き際を判断できない真矢のマークジーベンを、マークニヒトの負の力によって強化されたルガーランスが貫きます。その衝撃に上体が全て吹き飛んだマークジーベン、こちらももう、戦闘不能状態・・・
一方、キールブロックから凄まじい勢いで増殖し続けるフェストゥムの根は、アルヴィス内部にも侵入、「一騎くん、敵の力を封じて!システムが敵に奪われるわっ!」最後まで島を守るために指示を出し続けた彩乃は、膨張したフェストゥムの根にあっという間に飲み込まれてしまいます。そして、2年生のパイロット候補3人を逃がすために、犠牲になる小楯千沙都、容子をファフナーのコックピットに押し込んで、やはり犠牲になってしまった手塚・・・見事なまでのAパートのフラグ回収の嵐。
「やめて!人は、憎しみばかりじゃないのよ、お願い、わかって!」乙姫の絶叫もむなしく、荒れ狂うフェストゥムの根。そして、今やマークニヒトと戦うことのできるポジションにいるのは、満身創痍のマークアインだけ。レージングカッターでマークニヒトを固定して、「今だCDC、このブロックを切り離せっ!」と絶叫します。必死にNブロックを分離すべくコンパネを操作する史彦、辛くも切り離しには成功するものの、フェストゥムの根によって壁にたたきつけらてしまい、もう、誰もCDCをコントロールできる人も居ない・・・
「てめぇは、ここから逃がさねぇ」 執念でマークニヒトにすがりつく道生のマークアインを、再びニヒトのワームスフィアが襲います。二回に及ぶ攻撃で、ぼろぼろのマークアインのレージングカッターをこともなくはずして立ち去ろうとするマークニヒト。しかし、道生は最後の力を振り絞ってすがりつく。「どこ行くんだよ、そっちにゃ弓子がいるんだよ・・・」 こんなべったべたなセリフでも、今の道生が言うと、かっこよくって、そして悲しい。道生のトレードマークのバンダナがはずれ、中から落ちたのは、アイドルに憧れていた頃の弓子の写真。そうか、人類軍にいる間も、ずっとその写真をバンダナに入れて戦ってたんだ、道生…。マークニヒトに抱きついたままのアインを固定させ、フェンリルを起動させる道生、彼は最後の最後まで、弓子、そしてまだ見ぬわが子のために生き抜こうとします。「生きて帰るって・・・約束・・・」 最後の瞬間にコックピットを射出させる道生、しかし、すさまじいまでの憎悪の塊となったマークニヒトは、死に抗おうとする道生を見逃してはくれなかった・・・射出されたコックピットを目にも留まらぬ速さで掴み、アインの頭部に叩きつけるニヒト、そして解放されたフェンリル・・・目を焼き尽くすような閃光に照らされるカノン、そして真矢・・・
今まで色々なアニメを見てきましたが、ここまで壮絶で、ここまで酷い死にざまっていうのは、お目にかかったことが無い。相手ごと自爆っていうのは、使い古されたパターンなのに、どうしてこんなに悲しいのか?やっぱり、それは最後まで道生が「生きよう」としていたこと、そして、その願いを踏みにじるのが、「憎しみ」という負の感情であったことでしょうか。あまりに救いが無いと言えば救いが無い道生の最期。衛、竜宮島の大人たち、そして道生と続く、怒涛の死にラッシュに、しばらく呆然と画面を見詰めてしまいました・・・
しかし、今日のファフナーは、これで私を解放してはくれなかった(泣)。道生の散り様に集中力が切れそうになった瞬間に不意打ちのように現れた画面は、冒頭の狩谷と同じように首のところまで結晶に覆われてしまった総士の姿・・・ひとつひとつの感情を剥ぎ取られていってしまった虚ろな目、最後に「かずき・・・」と一番大事な名前をつぶやく総士。総士の異変を痛いほど感じながらも、どうすることもできず、「総士、総士」と呼びながら、フェストゥムの根にからめとられたジークフリードシステムを揺さぶる一騎、それを呆然と見守る乙姫・・・道生が生きることを許さなかったニヒトは、一騎が総士を救うことも許さない。ニヒトと繋がったフェストゥムの根と、それを掴んでいたマークザインの両手首ごと、総士を乗せたままのジークフリードシステムは消滅してしまいます・・・ペインブロックも作動しないままの両手首の痛みさえ忘れるほどの激しさで、あふれる涙とともに「総士、総士、そうし〜〜っ!」と絶叫する一騎・・・一度は助けられる、と思ったはずの大事なものが、指と指の間から零れ落ちる砂のように消えていってしまう痛み・・・こんなにも思い合ってるんだな、総士も一騎も(号泣)。はっきり言って、「萌え」とかいう次元を超えて、もう、悲しさとないまぜの感情で「悶え死ぬ」って感じで、管理人へとへとになってしまった週明けの深夜2時。タイトルにある「おとり」というのは、果たしてマークニヒト本体の方か、それともジークフリードシステムを乗っ取った根の方なのか?マークニヒトの目的がジークフリードシステムの劫掠であったとするならば、何もあんなにも人を殺す必要は無かったはず。それなのに、あれほどたくさんの命を奪ったのは、やはり人から学んでしまった「憎しみ」を、実際に表現しようとしたフェストゥムの好奇心なのか?それでは、乙姫がフェストゥムに教えようとしていた「悲しみ」をフェストゥムが理解することができれば、人類は破滅前に間に合うことができるのでしょうか。とりあえず、来週の「対話〜ミール」というタイトル、そして憎しみを理解してしまったイドゥンとは道を分かちそうなミョルニアに、一抹の希望を託して、来週の放送を待つことにします・・・
頼む、これ以上・・・殺さないでください・・・(泣)。
あと、長くなってしまいそうなので、書かなかったのですが、この23話は今までの中でも、一番EVAからの引用の多い回でした。総士って、綾波だなぁ(笑)。冒頭の、メディカルルームの真矢と一騎は19話、ミツヒロをつぶすマークニヒトは5話、総士の精神世界は16話あたりでしたっけ?(さすがに、今は確認する元気がないので、間違ってたらごめんなさい)。バーンツヴェックの中での真矢と一騎の構図っていうのも、どことなくEVAの中で多用されていた電車の中の風景にかぶるものがあります。あと、総士の救出は20話、道生の自爆は23話。細かくいったらもっとありそうだけれど、今日はとりあえず、ここまでってことで。
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